「にぃ……」 名前を呼ばれ、そっと上を向く。 目に映ったのは、たまらなく切なそうな表情の梶さん。 梶さんの大きな手が、あたしの顎に触れる。 そっと、近づく距離。 あたしは、そっと目を瞑る。 そして……確信した。 ”ナツミさん”には…… 絶対敵わない、って。 「好きだ」 耳に届いた言葉。 梶さん……その言葉、本当は、 ”ナツミさん”への言葉なんでしょ。