「二年前に、交通事故で死んだ。奈南の……双子の姉貴だった。アホでバカでドジで、目を離せない奴。離れたくない女だった」
梶さんは、あたしの腕を引っ張って無理矢理ベンチから立たせる。
そして、
あたしを強く抱きしめた。
「梶さん……泣いて、いいんだよ?」
抱きしめられた瞬間、自然とでた言葉。
でも……わかる。
小さく震えてる肩も。
微妙に震えてる声も。
綺麗な瞳に、涙が溜まっているのも。
梶さんは、ギュッとあたしを抱きしめながら、静かに泣いていた。
「ナツミ……」
そう……何度も呟きながら。
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