マンションの自動ドアが開く音が聞こえた。 見れば、 「にぃ」 と……悲しそうにあたしの名前をよぶ、梶さんの姿。 なんで……なんで、くるの? 放っといてよ。 諦めさせてよ。 「……戻ろう、にぃ」 「ど、して……ッ。 優しくするのぉ……っ」 優しくされない方が、 まだ……いいんじゃないかって思ってしまう。 苦しくないんじゃないかって。 優しくされたら、 その優しさが、さらに好きになってしまう。