【完】*運命論*







溢れそうになる涙をグッと堪えて、座る。

「ぁ、唯ちゃんって誕生日いつなの?」

ユリさんに聞かれ、あたしは小さな声で答えた。

「ぁ、えと……8月7日です」

そう言った瞬間、梶さんと箕原さんは目をまん丸にして。

そしてすぐに、悲しそうに下を向いた。

「ぇえっ?! 今日じゃん!! ちょうどいいや、唯ちゃんも一緒に祝おう!」

「おぉ、そうだな」

「じゃあ、電気消してー」

部屋が暗くなると、ケーキにさしてあるろうそくの火が綺麗に見える。

「え、こ、これ、あたしが消していいんですか?!」

「うん、いいって」

で、でも……。

「じゃ、じゃあ……」

消そうとした瞬間、あたしの瞳に映ったのは、梶さんの悲しそうな表情。

あたしはグッと、息を出すのを止めた。



……消せるわけがない。



だって……このケーキは、



梶さんが、




大好きな人のために用意したもの。