そして、あたしの瞳から涙が溢れ出す。 「にぃ……」 「な、んでぇ……っ?」 好きな人がいるんでしょ? 彼女がいるんでしょ? そっと、抱きしめられる。 「……にぃ」 愛しそうに、あたしの名前を呼ぶ。 「迷惑なんかじゃない」 「ぇ……?」 「好きって言ってもらえて、迷惑なわけねーだろ」 あたしの心を読むように、梶さんは言った。