あたしはゆっくりと、歩き出す。
下を向いて、ゆっくりと。
しばらく歩いてると、後ろから「にぃ?」と、大好きな声が耳に届いた。
あたしのことを”にぃ”って呼ぶのは、一人しかいなくて。
後ろを振り向けば、
梶さんが立っていた。
梶さんは、大きな花束を持っていた。
花束を持ってる手首には、初めてみる腕時計。
すごい……大事にしてるって、一瞬でわかる。
「梶さん」
「ん?」
なんで……抱きしめてくれたの?
「その腕時計……誰から、もらったの?」
こんな質問をするあたしは、
すごいバカだと思う。
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