「…もしもし?」
「…はやとぉ〜…」
いつもの元気に話すみどりとは違い、かすれた声で…
泣いているようにオレの名前を呼んだ。
オレは何かあったんじゃないかと、心臓が急に鼓動を速めた。
「どうした!?泣いとるんか!?
今どこや!?」
「…駅。」
「分かった!10分で行くから、待ってろ!」
それだけ言うと、スウェットのズボンにTシャツで、自転車のカギをとり、急いで玄関を出た。
いくら地球温暖化とはいえ、まだ5月…。
夜中の空気はまだまだ冷たかった。
しかし…この時はまるで寒さなど全く感じなかった。
ただ無我夢中に駅に向かって自転車をこぎ続けた。

