かな子

ところが、妹はいつまで経っても人間らしくなんかならなかった。それどころか、私の大切にしているオモチャを手当たり次第になめて、つばまみれにした。
そのたびに、お腹が煮えくり返るぐらい腹がたって、ママやおばあちゃんに抗議したのだけれど、「お姉ちゃんなんだから」とたしなめられた。
それでもみんなはやっぱり妹を「かわいい、かわいい」と手ばなしで愛でる。わけがわからなかった。


ある日のこと。幼稚園から帰ると、妹の姿が見えない。私のオモチャも無事だ。いなくなってしまったのか、やっと人間らしくなってくれたのか。
どっちでもいい。

どっちでもなかった。
すごく憎たらしくて、一番見たくなかったものを見た。