「ってワケで、ペットが飼えなかった。」
日曜の夕方のさくらぎ公園は、夕焼けに包まれていた。
家から近いこの公園が、私と親友の円香との約束の場所。
小さい頃から2人でこのさくらぎ公園で遊んで、思い入れの深い場所になってしまった。
「叶多君も厳しいねー。」
円香はバナナオレを飲み、小さく呟いた。
「家計が厳しいのは分かるけどさ、ハムスターくらい良いじゃん。」
「叶多君、動物嫌いだから。」
私は叶多君の顔を想像しながら、溜め息をついた。
「ま、いいや。欲しいけど、高校出るまで我慢するし。………で、何で呼び出したの?」
「あー、うん。」
円香は頭をかいて、何故かにぱっと笑った。
