満里はヒールをひっかけてビルの立ち並ぶ東京の街を必死に走っていた。その慣れないヒールに加え、慣れないひらひらの黒いフォーマルドレス、慣れないショルダーバッグ、慣れない巻き巻きのヘアーセット。

こんな大事な日に限って遅刻だなんて。

「もう、こうなったら、、、」

満里は徐にヒールを脱ぐと、左手に持つ。右手でスカートの裾を握り、ひらひらのドレスをひらひらさせないようにする。

何事かと振り返る道行く人を尻目に、満里は裸足で走りだした。