「…別れたの」

私は今までのことをすべて話した。
叶矢は黙って聞いてくれた。

「そんなことがあってたんだな…悩んでるならなんで俺に相談しないんだよ。いつでも連絡していいって言っただろーが!」
「だって…迷惑だと思ったから…」
「迷惑なわけねーだろ!?俺はずっとお前が好きだって言っただろ…?」

そんなこと言われると涙が出てくる。
傷つけたくなくて…だから頼らなかったなんて言ったら叶矢は怒るだろう…。
だから言わない。
そう思っていると…

「楼栗のことだから俺を傷つけたくないとかそういう理由で言わなかったんだろ…?」
「…なんで。何で叶矢はいつも私が思ってること…わかるの?」
「なんでってわかんねー。好きだからじゃねぇーの?好きだからわかるんだと俺は思うんだけど…」
「そっか…私のことそんなに想っててくれてたんだね。なんか照れる―///」
「ハハ。俺は楼栗だけが好きなんだけど。」

そんなこと言われたって…。
でも私…叶矢のこと好きだと認めてもいいんじゃないかなって思う。
もう少しだけ待ってくれないかな…。

「…もう少し一緒にいてくれない?一緒にいたら自分の本当の気持ちに気づけると思うんだけど…ダメかな…?」

「え…全然いいけど…!考えてくれるだけで嬉しいしさ!」

叶矢の顔がパァと明るく奈Kつた。

「わかった。じゃ仮ということで!よろしく」
「おぅ!絶対好きにさせてやるよ!」

それから私は叶矢と過ごすことになった。
周りから見たら付き合ってるように見えるだろうけどまだ仮だ。
早く気持ちに気づけるようにしなきゃ。
あの日から行き、休み時間、昼休み、帰りとずっと叶矢と過ごすようにしたんだ。

叶矢と過ごしているうちに自然と紅と過ごしたこと話したことを忘れるように埋まっていった。
叶矢の言った「絶対好きにさせてみせる」という言葉の通り私はどんどん叶矢に惹かれていくような気がした。もしかしたらこれが叶矢の恋パワーなのかもしれない。
叶矢とッ諸にいると楽しくて、すごく居心地がいいんだ。
紅にも確かに安心感があったけど、叶矢には違う安心感があった。
もしかしたらその安心感のわたしを引き付けて求めているのかもしれない。
もし…叶矢と一緒に過ごしていなかったら、この気持ちに気づいていなかったかもしれない。
そう思うとなんだか…嬉しいような、悲しいような…なんだかそんな気持ちになった。
でもそんなことは今はどうでもいい…。
私は叶矢に返事をしなければいけない…私にとって叶矢は…
叶矢は…大事な人。
叶矢は紅を忘れさせてくれる。とても愛してくれる。
そして私を見てくれる。
私は…叶矢をもっと知りたいと思うし好きでいたいと思うから…。