楼栗side

気が付くと私は紅の腕の中にいた。

「ん…紅?」
「楼栗?大丈夫か?」

そういえば真美さんの友達がもう周りにいないけど、叩かれたところがヒリヒリといたんだ…。

「痛いか?殴られたとことか…」
「大丈夫…冷やせば…ね?」
「そっか…ごめんな?俺のせいで…守れなくて…」
「ううん…紅のせいじゃないから…」

もうここで言おう…これ以上…紅の悲しい顔は見たくない…

「紅…」
「ん?」
「私…もう限界…別れて…」

紅がビックリした顔で私を見た。

「なんで…?俺は嫌だ…。」
「私ね…紅の悲しい顔も辛そうな顔も見たくないの…それに真美さんの気持ちを考えたら…私までつらくなる…そして私が弱いの…弱いから紅を幸せにはしてあげられない…」
「……」
「だからね…私…考えたの…私も、紅も、真美さんもつらくならない方法は…別れることだと思うのね…。それぞれが本当に好きな人とくっつくの…それが皆の幸せだと…。だから…別れよ…」
「…俺は…お前といたい!お前とじゃなきゃ幸せのなれないよ…」
「ごめん…もう決めたことなの…ごめんなさい…」
「わかった…でも…もし、つらくなったら…俺のとこに来いよ?待ってるから…まぁ…でもその時には彼女…いるかもだけど…友達として待ってるから…」
「うん…私も…彼氏いるかもね…!その時は友達として!」よろしくね!」
「あぁ…じゃぁ…バイバイ…」
「うん…バイバイ…」

そう言って紅は帰って行った…。

ありがとう紅…。あなたに恋をさせてくれて…。本当に大好きでした。
一緒にはいられないけど…友達として…また…好きになってもいいよね…。
私は絶対に忘れられない恋をしたんだ。
私は空を見上げて一粒の涙を流した。
そこに

「楼栗…?」

え…叶矢?

「何?」
「いや…紅くんが走ってどこかに行ってるのを見たからさ…」
「あ…そうなんだ」

泣き顔見られてないかな…。

「大丈夫…?もめてた感じだけど…」