「私たち…帰る用意してくるから下に先行ってて?」
「あ…わかった」

そして叶矢たちは下に降りて行った。
すると、ちえりが泣き出してしまった。
やっぱり…私たちには笑って二人を送ることはできないんだ。

「大丈夫?ちえり…」
「あ…うん。ごめんね?…泣いちゃって」
「いや…大丈夫。私も泣きそうだったから…」
「そ…っか。こんな顔で涙梨たちに会えないよ…」


確かにそうだ。
笑顔で送ると約束をしたのだから。
でも…それは無理な話…。
無理なら…最初から約束するなよって思うかもしれない。
でも、約束するしかないじゃない。

「もう…素直に言うしかないんじゃん?」
「…うん」
「涙梨だってわかってると思うよ?またちえりをいじってるんじゃ…」
「そうなのかな…?」
「そうだって…ちゃんと伝えたら?自分の気持ち。」
「うん…じゃ、行こうか」
「だね」

私たちは屋上を出てカバンを持って叶矢たちのところに向かった。
ちえりの目は腫れていたいたけど覚悟を決めているような目をしていた。
下に降りると叶矢たちが笑って話している。
それを見て私は素直に言いづらいなって思った。
でも…言わなきゃね。

「お待たせ」
「おー帰るか?」
「あ…うん…ちょっと話せないかな?」
「?いいけど」

「ちえり?…もしかして泣いたりした?」
「え…あっちょっとね」
「その涙の原因って…俺…だよな」
「……」
「ちょっと寄り道して帰るか?」
「え…?」

あれ…?涙梨…気づいたのかな…。
それに比べて叶矢は…全く気付いてないみたい…。