あなただけを愛したい

「おまえ、茜を抱いたんだろ?」



若干睨みをきかせながら、低い声で言葉を放つ。



「……抱いたよ」



やっぱり。



「じゃあ、おまえの子か?」


「違う」


「は?」



何で即答なんだよ?


可能性はあるんじゃねぇの?



「あれは、航の子だ」


「何で、わかんだよっ!」



テルは、胸ぐらをつかんでいる俺の手を解きながら



「茜がそう言うんだから、航の子だ」


「……」



何、言ってんだ?


茜が言ったから?


ただそれだけで、信じるっつうのか?


意味わかんねぇ。



「なぁテル、おまえ、今でも茜のことが好きなんだろ?」



この言葉で、テルの眉がピクッと動いた。



「言いくるめられてんじゃねぇぞ?」


「…んなことねぇよ」