「なぁ、柑那」


「ん?」



ずっとおふざけモードだった航の声から一変して、穏やかなそれになった。



「やっぱ、飯より先に……柑那を食いたい」


「なっ!」



でも言ってることは、やっぱり冗談混じりの恥ずかしくなるような言葉で……


返答に困る。



「行き先は……俺のアパートでいい?」



さらに言葉で攻めてくる航に、もう……頷くしかなかった。


見上げた先の航は、凄く優しく微笑んでいて……ただそれだけで胸がきゅんとなる。


その上、また指を絡めながら繋がれた手から伝わる航の体温に、どきどきが早くなる。


今日、航と会ってから、あたしの心臓はずっと活発に動きすぎていて、休めることを知らない。


こんなに動いていたら、あたしの心臓は壊れてしまうかもしれない。



でもやっぱり……


これからもずっとずっと、航のそばで、航の温もりを感じていたい。






おまけ fin