あなただけを愛したい

「茜の子は――…俺の子じゃなかったよ」


「ほ、ほんと?」



そうであればいいとは思っていたけれど、いざその言葉を聞いても、どこか信じられない。



「ん、テルの子だった」


「テル?」



聞いたこともない名前に、首をかしげる。



「俺のダチ。柑那もさ、前に会ったことがあるだろ?金髪でロン毛の……」


「あ」



航のことを“悪いヤツ”と言った人だ。



「お互いに認めたよ。つか、アイツらが意地の張り合いをしていただけだった」



意地の張り合い?



「元々テルは、茜のことが好きだったんだ」



航が言うには、テルさんは今でも茜さんのことが好きで、子供も自分の子だろうと思っていたらしい。


でも、好きであるゆえに、茜さんが『航の子だ』と言う言葉に反論できずにいた。