「柑那の家へ迎えに行ったら、友達と出掛けたって言われた」


「あ」



家に行ったんだ。



「ずいぶん探したよ。おかげでビチャビチャ」



そう言いながら、自分のシャツを摘まんでる。



「シャワーを浴びてきた意味がねぇ」



さらにそう付け加えて、苦笑する。


こんなに汗をかくほど、探し回ってくれたんだ。



「ごめんなさい」



おとなしく家で待っていればよかった。


でも、いてもたってもいられなかった。


気持ちが海に向いていたから、つい行動を起こしてしまった。



「会えてよかったよ」



そう言いながら、航はあたしをグイッと引き寄せて、頭頂部にキスを落とした。


そのまま髪をすくように撫でる。


ただそれだけの仕草に、胸がトクンと音をたてた。