航の大きな手がゆっくりとあたしの瞼に伸びて、親指でそっと涙を拭いてくれる。


そんな仕草がまた航を感じられて、さらに涙を誘発してしまう。



「こ…ぅ…」



名前を呟くと、また涙がこぼれた。



「はは、泣き虫」



笑いながらそう言う航。


久しぶりに見た航の笑顔に、胸がきゅんとする。


そして顔が近づいてきたかと思ったら、唇ですくうように涙を拭いながら、瞼に、頬に……チュッチュッとキスを落としていく。



「柑那」



耳元でささやくように、そう呟いたあと……


吸い寄せられるように、唇が重なった。


最初は、啄むキスを繰り返し、次第に深くなっていく……