あなただけを愛したい

電車に揺られながら、窓の外に視線を移す。


流れる景色を眺めていると、航と出会った日からのことが、ゆっくりと脳内に浮かんできた。




初めて航を見た時は、同じ生徒だと思うくらいに無邪気にはしゃいでいて、まさか先生だとは思わなかった。


今じゃ、無邪気な姿はほとんど見られなくて、大人の航しか見当たらないけど。



いつも航と挨拶をしたくて、眼鏡に二つ結びという姿で登校していたけれど、


もし今の姿で学校へ行っていたら、航とはもっと早く付き合っていたのかな。


それとも先生と生徒だし、逆に想いを伝え合うこともなかったのかな。



そういえば、毎朝航に会って挨拶していたけれど、誕生日とバレンタインだけは、姿を見たくないって思っていたなぁ。


まだ卒業して4ヶ月しか経っていないのに、凄く懐かしく感じる。