あなただけを愛したい

あれから、航から電話やメールが来ることがなくなった。


きっと、別れを受け入れたってことなんだ。


もう茜さんとヨリは戻したのかな。


そう願っていたはずなのに、そうあってほしくないという気持ちが、あたしの胸の中をグルグルと回っている。


あたしが決めてそう告げたのに、今さら後悔なんて……


バカだよ、あたし。


航は“別れない”って言ってくれていたのに。


ほんとに、……バカだよ。


いつの間にか、顔中が涙で濡れていて、嗚咽も抑えられなくなっていた。



「柑那?」



竜一の声にも答えられない。


そのうち家に着いたのか、車から降ろされ、手を引かれて家の中に入った。


久しぶりの竜一の部屋は、相変わらず何も変わっていなくて……


あの頃の自分がここにいるんじゃないかという錯覚に陥った。