胸が、痛い……


だけど、やっぱりこうするしかないんだ。


あたしが我慢するしか……



「……先生と、生徒だった、あの頃に……戻ろう?」


「は?」


「別れよう」



もう、ダメだ。


目の奥が熱くなってきて、歯を食い縛る。


でも、そんなことしても、止められないものは止められない。


目から涙がぽろぽろと溢れてきた。



「柑那、俺は別れるつもりはない」



その言葉、凄く嬉しい。


でも、今のあたしには、受け入れられないよ。


航には、子供のことを一番に考える父親でいてほしい。



「……ごめん、帰るね」



そう言って、そのまま玄関へ向かった。



「柑那っ!」



航が追いかけてきたけれど……