この温もりを離したくない。


ずっとこの場所にいたい。


あたしに、それが許されるのかな。



「……今日、……茜さんが、来た」


「は?」



航は抱き締めていた腕を緩め、あたしの顔を覗き込んだ。



「航の、子供なんでしょ?」


「……俺は、アイツと一緒になる気はねぇ。柑那と別れるつもりもねぇから」


「答えになってない。あたしは……航の子供かどうかを聞いたの」


「……」



航は顔を背けて、黙りこくってしまった。



「航?」



きっと、航の子供であることは、間違いないんだ。



「あたし――」



あ、ヤバい……


涙が、出る。



「柑、那?」


「もう、戻ろ?」


「戻る?……何の話だよ?」