あなただけを愛したい

航のアパートへ向かう車内は、お互いに沈黙で……


カーステから流れる、しんみりするようなバラードが、すーっと耳に入ってくる。


こうやって、強引に連れていかれてるわけだけど……


あたしの中では、まだ何をどう話そうかなんて決まってなくて。


このまま着いちゃったらどうしよう。


てか、何を話すかなんて、決まらない気がする。



「ここだったよな?」



やっちゃんの声に、辺りを見渡すと、ちょうど航のアパートの前。



「……うん」



二人で車を降りた。



「俺ここで待ってるから、行ってこいよ」


「えっ?やっちゃんは来てくれないの?」


「はぁ?行くわけねぇだろ?おまえらの問題じゃん」



でも……



「横にいてくれるだけでいいの」



ただそれだけで心強い。