あなただけを愛したい

「後悔するんだろ?だったら会いに行くぞ?」



そう言ってやっちゃんは、あたしの腕をつかんで立たせようとした。



「だって!“別れて”って言われたんだもん!」


「は?」



思わず顔をあげて、叫んでしまった。


そして……


また、涙がこぼれた。



「彼氏と話したのか?」


「ち、違うっ!」



“別れて”は、航の言葉だと思ったらしい。



「元カノが、あたしに会いに来たの」


「マジ?……で、別れてくれって言われたのか?」



コクンと頷く。



「柑那は?何て言ったんだ?」


「……何も、言えなかった」


「はぁ?“別れねぇ”って言えよ!」



やっちゃんはそう言うけれど……


ていうか、あたしもそう言いたかったけれど……



「言えるわけないよ、……子供のことを考えると」