咲季が横からコソコソと



「誰?」



って聞いてきて……



「……航の元カノ」


「えっ!?」



咲季には今朝一緒に通学したときに、一昨日の出来事は話してあった。



「話せる?」



茜さんは、そう聞いてくるけれど……


行きたくない。


咲季が耳元で「一緒に行こうか?」って言ってくれた。


でも、どうしよう。



「少しでいいの。話を聞いてくれない?」


「……じゃあ、少しなら」



あまりに一生懸命に言ってくるから、ついそう応えてしまった。


でも、ついていかなきゃよかったんだ――…






結局、咲季と有希とは正門前で別れて、茜さんと二人で近くのカフェに入った。


向かい合って座って、茜さんはコーヒー、あたしは紅茶を注文した。