あなただけを愛したい

「何で俺のせいなんだよ?」


「えっ!?」



人がいるはずのない方から声が聞こえて、咲季と二人でその方向へ振り返る。



「竜一!」



何で?



「二次会に行ったんじゃなかったの?」


「柑那いないとつまんねぇし」


「はぁ?」


「つか、俺の前でも話せば良かっただろ?」


「ヤだよ」



元彼の前で今彼の話ができるわけない。


しかも、竜一は“ヨリを戻したい”って言ってたんだから。



「そういや、柑那が通う短大ってどこ?」



突然、竜一が身を乗り出して聞いてきた。



「それ聞いてどうするの?」


「いや、なんとなく」



わけわかんない。


短大なんて教えたら、竜一のことだから、きっと卒業式の時みたいに押し掛けてくるんだ。



「あっ、咲季。コンビニ行かなくていいの?」


「うん、そろそろ行こうかな」



咲季の彼氏に会ってみたいなぁ。