あなただけを愛したい

「あたし、何げに田中くんのことを応援していたのに。中学の頃から好きだったらしいじゃん」



あ……


図書委員で、いつも代わってたもんね。



「ずっと友達だよ」


「そうなんだ。卒業式の日、一緒に登校してきたから、うまくいったんだとばかり思ってた」


「あ、あれは、たまたま会っただけで……」



たまたま一緒に登校しただけで、付き合ってるとか思われちゃうんだ。


それより……



「三上さん」


「何?」


「ごめんね。あたしの気持ちを隠してて。ほんとは何度も言おうと思ってたんだ。でも、生き生きしてる三上さん見ていたら、ウジウジしている自分が恥ずかしくて、言えなかった」



三上さんの方を見ながら言ってたんだけど……


ずっと表情を崩さなかった三上さんが……


“ふっ”と笑った。