教材室での夕穂の泣き顔が忘れられずに、ろくに眠れもしなかったんだ。


そして今日………どうにか想いを断ち切ろうと、夕日塔にやって来た。


最後に2人の思い出の場所で、全部“無”にするつもりだった。


だけど――――…


「夕穂……ソレ本気で言ってる?」


突然現れて抱きついて来た夕穂に言われた言葉が信じられなくて、メチャクチャ至近距離で尋ねる。


夕穂のホッペがちょっとだけピンクになったのを見ただけで、重く沈んだ気持ちが浮かんだ気がした。


「………ッ、本気…で、す。私……また日希と…つき合いたい………」