夕日塔の約束

「ごめんね稚鶴…私、まだ………」


「話は後で聞くからいいわ。それより授業よ!!」


この時、しっかり者の稚鶴の気遣いが、スゴく嬉しかった。


赤髪男子と茶髪男子に気づかれぬ様、そそくさと移動する。


「でさぁ……」


「フーン」


2人の声を聞きたくなくて耳を塞ぎかけたけど、教科書持ってるしさすがにソレはやめといた。


茶髪の方の男の子の声は、聞いたって構わない。


だけど赤髪の方の男の子の声は、聞きたくなかったんだ。


ううん……“姿”さえも見たくなかった。


「―――…夕穂、まだ顔青いわよ」