夕日塔の約束

もう1人は短めの赤い髪を後ろに流し、茶髪の男の子と楽しく会話していた。


その赤髪男子から目が離せずに、私は固まったまま。


「あっ………」


うわ言みたいに呟くと、稚鶴が私の腕をグイッと引っ張った。


「夕穂……ちょっと遠回りになっちゃうけど、あっちから美術室行こう」


気マズそうな稚鶴が急かすも、私の足は根が生えた様に動かない。


「夕穂っ!」


「……あっ……うん、分かった………」


少し大きめの声で名前を呼ばれると、やっと動いた。


クルリとUターンして、別のルートから美術室に向かう稚鶴と私。