東京……

そこは地方に住む人々が、
誰でも一度は憧れるトクベツな場所。


東京……

そこには夢も希望も未来もあって、
ないものなんて何もない場所。


そーいうふうにずっと思ってた……。


だけど高校を卒業して東京に行ったとき、
たった一つだけないものがあった。


あなたがいない……。


あなたとあたしはいつもいっしょだった。

桜の木の下をいっしょに学校に通ったし、
蝉時雨を聞きながらいっしょに泳いだ。

フォークダンスは踊れなかったけど、
雪ダルマはいっしょに作ったよね?


あなたがいない場所なんて、
まるで廃墟か、砂漠か、この世の果て。

あなたがいない場所なんて、
そんな世界に意味なんてない。

だから、あたしは東京を卒業します―――

                   ~Fin~