「おはよう!玲子ちゃん!」

笑顔で話しかけてきたこの男は桐谷太陽。


身長は高く外見は中性的な顔をしており、人懐っこい犬のような奴だ。


玲子は毎度この大型犬のような太陽に悩まされていた。


玲子は太陽に話かけられても無視をする。


それは太陽が玲子にとって何一つメリットがないからだ。


玲子は女子の友達が一人もおらず、つるむのは玲子を好く男子とだ。


太陽は男女ともに友達が多く、なおかつ教師にも好かれているいわゆる優等生なのだ。


自分はどちらかというと不真面目で毎度太陽といると陰口やら悪口を周囲から聞こえてくる。

別に陰口やら悪口など慣れているし、自分の行いの悪さや人徳のなさはわかっているが、こう綺麗でなんの悩みもなさそうで欠点のない人間といるのはどうも居心地が悪い。


「玲子ちゃん!俺の話聞いてる?」


玲子がひたすら無視しているにも関わらず太陽は話かけ続けていたようで、ようやく反応のなさに耐えかねたのか抗議をしてきた。



そんな太陽にもう玲子はウンザリで一言だけ言った。


「うるさいわよ。」

ギロリと睨みつけたのに、太陽は玲子から返事が返ってきたことによりパアッと明るい笑顔を見せた。


「玲子ちゃんが返事してくれた!俺、嬉しいなあ!」


そんなことで何故一々喜ぶのかまるで理解できない玲子はため息をつき、太陽を無視して自分の席にようやくたどり着いた。