「あれ? さっき郵便局のとこを左に曲がったんだから、今度は右、だよね?」
あたしは、地図をくるくる回しながら、隣の智哉の顔を見た。
「あのなぁ……、地図を回したら、ワケわかんなくなるだろ?」
智哉は、黒縁メガネの奥の目を細めて、あきれてる。
でも、そんなこと言ったって……。
唇をとがらせると、智哉はあたしの持っている地図の一点を指差す。
「今はここ。
で、目的地はここ。
だから、この道をまっすぐ行けばいいの」
「そ、そっか……。
あの、やっぱり、地図は智哉に任せるよ」
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