そんなことを考えながら、智哉を上目づかいに見ると。 ――グイッ! いきなり頭を抱き寄せられた。 「ちょっ、なに、いきなり?」 智哉の腕を逃れて、顔を見上げると。 あれ? 智哉、赤くなってる? なによ、自分から「俺のためにおしゃれしてきたのか」って聞いてきたくせに! そんなふうに照れられると、こっちまで照れちゃうじゃん……。 そうこうするうちに、電車は隣駅に着いた。