「今日はずいぶんおしゃれしてんじゃん」


智哉が、カーデの襟元をつまんで、からかうように言う。


「だって、デートだし」


「ふぅん、俺のため?」


「それは……」


いたずらっぽく、メガネの奥の目を光らせてる智哉。


また、イジワル言って……。


照れくさかったけど、あたしは思いきって話すことにした。


「あたしね、学校では、今までどおり、“普通”でいようと思うんだけど、デートのときは、おしゃれすることにしたの。
もちろん、智哉にかわいいって思われたいからだよ」


正直に言うと、意外だったのか、智哉はちょっと戸惑ったような顔になる。


その顏を見て、ちょっと微笑みながら続けた。