「やったぁ、入った!」


「ここの駐輪場、休日はホント混むんだな?」


「だから言ったじゃん。
隣との間隔がせまいから、空いてても入れるのが大変なんだよ。
あたし、休みの日は、向こうの駐輪場使うもん」


「そっか、覚えとくわ。
あ、手、切れたのか?」


「あぁ、隣のチャリのハンドルにぶつかって。
でも、ちょっとだけだけだから平気」


「そっか。それにしても……」


メガネの位置を直しながら、口の中でなにかゴニョゴニョつぶやき出した智哉に、顔を寄せる。


「えっ、なに?」


「いや、今の会話、こないだ俺の部屋で聞きたかったなぁと思ってさ」


「え? 智哉の部屋で?」