「え? えっと、じゃぁ、オレンジ」 「オッケー。 持ってくから、先に俺の部屋、行ってて」 「うん……」 キッチンへ向かう智哉と別れて、あたしは階段を上った。 智哉の家には、もう何度も来てるけど、智哉の部屋に入るのは、初めて。 「失礼しまーす」 誰もいないのはわかってるんだけど、一応声をかけてドアを開ける。 ……へぇ、意外ときれい。 洋服とか散乱してないし、机も、ベッドも、そこそこ整っている。