「あたしたち以外にも、たくさんの刑事が張り込んでるわ。
だから、今日はもう帰りなさい。
食事するなら、駅ビルのレストランにしておいて」
「……わかった」
「それから、綾華ちゃんの門限に間に合うように、ちゃんと家まで送るのよ?」
「あぁ、わかってる」
「あと、あたし、今夜は泊りになると思うから、戸締りちゃんとしてね」
「はいはい」
智哉は軽く返事すると、あたしの手をつかみ、くるっと身をひるがえした。
「じゃーなー」
立ち去ろうとする智哉に引きずられながら、遼子さんに軽く頭を下げると、
遼子さんは、笑いながら、手を振ってくれた。


