「変に気を使わないでよ!」


腰に手を当てて怒るけど、ニヤニヤ笑いのふたりには、まったく通じない。


「いいからいいから。
おーい、智哉ー、綾華が一緒に帰ろうってー!」


菜々美は勝手に智哉を呼ぶ。


「ちょっと!」


止めようと思ったときには、もう遅くて。


「あぁ、帰ろうか」


智哉がこっちに来てしまった。


「じゃ、あとでね、綾華!」


「もうっ!」


菜々美にまんまとはめられたあたしは、しかたなく、智哉のあとについて、教室を出たのだった。