「行けー、綾華ーーーーっ!」 応援席の前を通過するとき、みんなの声が聞こえた。 その声が力になって、さらに速く進める。 そして……。 智哉だ! 前方に、智哉の姿が見えた。 あたしを待ってくれている。 智哉! 今行くからっ! 最後の力を振りしぼって加速し、少しずつ動き出した智哉の背中だけを見つめる。 そして。 智哉、あとはお願いっ! 願いを込めて、力強くバトンを渡した。