前の走者の男子ががんばってくれて、一着との差は、わずか1mにまで縮まっている。 少しずつ近づいてくる男子を背後に感じながら、少しずつ走り出す。 今か今かと待ってると……、 隣の子が飛びだすのと同時に、バトンがしっかり手に収まるのを感じた。 よしっ、行けぇっ! 心の中で自分にかけ声をかけて、一気に加速する。 あれ? 動く! あたし、あんなに走るの苦手だったのに、今日は、勝手に足が動く! うれしくなって、ぐんぐん勢いをつけて走る。 あとちょっと、あとちょっとで、追いつく!