「雄太の事件のこと、聞いたぜ。
綾華、アイツを止めようとしたんだってな?
俺、雄太が、なんか危ないことに首突っ込んでるのは気付いてたんだけど、止められなかった。
綾華はすごいよ。
なぁ、俺らも出るからさ、一緒に走ろうぜ!」
ひびきのグループの子たち以外、みんなが、男子も女子も、励ますような温かい目で、あたしを見守ってくれている。
もちろん、智哉も。
あたしは、智哉を見た。
どうしたらいい? と心の中で問いかける。
智哉は、さっきひびきに向けたのとは真逆の、ものすごく優しい目であたしを見てくれている。
そして。
「綾華、俺も雄太の代わりに出るし、一緒に出よう。
綾華が遅れた分は、俺が取り返すから、安心して走れよ」


