結局、曲が終わるまで、あたしはその場にぼんやり立っていることしかできなかった。
曲が終わり、最後の決めポーズで、会場から拍手をもらうと、メンバーは走って引き上げていく。
あたしも、その一番後ろから、退場した。
「綾華ちゃん、どうしちゃったの?
振り付け、忘れちゃった?」
クラスの応援席に戻ると、真喜子が心配そうに声をかけてきた。
「あぁ……、うん、ちょっとね」
応援団の練習でいやがらせされていたことは、誰にも言ってなかったから、言葉をにごすと……。
「ったく、あれだけ練習したのに、困るわよねー、グズな人が混じってると!」
ひびきだ。


