しどろもどろにつぶやくと。
「綾華は、ダメじゃないよ」
ギュッと抱きしめられて、優しい声が降ってきて、ますます支離滅裂になる。
「ううん、全然ダメなんだって!
中学のときは、髪もメイクもがんばって、それなりにモテてたけど、高校入って髪切ったら、とたんにモテなくなったし……」
すると智哉は、コツンとおでこをぶつけてきた。
「それは違う。
それは、俺が阻止してたせいだから……」
「え? 阻止?」
「こないだ言っただろ?
カラオケ行ったとき、雄太の仲間たちに、綾華、スゲェ人気だったって。
野苅家なんかより、綾華の方がずっとモテるよ」
「ウソ……」


