黒縁メガネ男子に恋してる


「俺も、家族として、そういう目に耐えてきた部分あったけど、
俺なんかより、ずっと妹にかかりきりだったおふくろの方が、何倍も神経すり減らしてたと思うよ。
妹が死んで、俺の受験も終わったら、おふくろ、とたんに魂が抜けたみたいになっちゃってさ。
それで、遼ちゃんに、田舎に連れて帰ってもらったんだ」


「……そうだったんだ」


お母さん、田舎で病気療養中って言ってたけど、そういう事情があったんだ。


「だから俺は、見た目より中身が重要だっていう綾華の気持ちもわかるけど、見た目で判断する人間が多いって事実は、苦々しいけど、受け入れるしかないと思ってる」


「…………」


智哉の話を聞いていて、思い出したことがある。


まえに、智哉の家に、初めて真喜子と一緒に行ったときも、同じようなこと言われたっけ。