その瞬間、智哉の家のリビングにあった、仏壇を思い出した。
そういえば、女の子の写真があったような……。
「妹には、生まれつき障がいがあってさ。
リハビリとか病院に行くのに外に出ると、みんな、いろんな目で見てくるんだ。
気の毒そうに見てきたり、あからさまに目を背けたり。
あいつ、知能は低かったけど、心は優しいヤツだった。
でも、そんなこと、初対面の他人には、わからないだろ?」
「人は見た目で判断されるんだよ。
それはもう、俺は、仕方のないことだと思ってる。
それに、世の中から、偏見する人はいなくはならないって、俺は思う。
偏見を持たれる側は、つらいけど、耐えるしかないんだ」
「…………」
身近に障がい者がいないあたしには、返す言葉がなかった。
それくらい、智哉の言葉は重い。


