「中2の終わりの春休み」 「うん?」 「あたし、智哉に会ったことがあるの」 「…………」 「智哉は覚えてないかもしれないけど、自転車で、智哉に追い抜かれて」 「…………」 「あの頃、あたし、もっと髪長くて、巻いてて、もっとメイクも濃くて」 「…………」 「あのとき智哉が告白してくれたの、あたしなの!」 なにも言わない智哉に、もう一度頭を下げる。 「あのとき、ひどい言葉で断って、ごめんなさい!」