「菜々美、悪い、ちょっとコイツ借りる」 智哉が後ろから肩を抱いてきた。 「えぇっ!?」 驚くあたしにかまわず、菜々美は笑顔を見せる。 「あぁ、りょーかーい! じゃぁ、またあとでねー!」 真喜子と連れ立って教室に戻ってしまい、あたしは智哉をあおぎ見た。 「な、なに? どうしたの?」 すると、智哉はやや強引にあたしを引っ張って歩き出した。 「どうした、は、こっちのセリフ」 「え?」