「あのさ、ひとつ聞いておきたいことがあるんだけど」
あたしの改まった口調に、智哉も、笑顔を引っ込める。
「なに?」
「カラオケで、雄太が、あたしのことを話したって、言ってたでしょ?」
「あぁ……」
智哉は、ちょっとイヤそうな顔でうなずいた。
あたしもホントはイヤだけど、でも、これを聞かないでいたら、不安はもっと大きくなるばかりだと思うから。
「雄太、別れたときの話もした?」
あたしのトラウマ。
できれば、智哉には知られたくない過去。
さっきまでとは違う意味で、心臓がドキドキ鼓動を速める。
どうか、知られていませんように……。


