やがて、触れてきたときと同じように、ゆっくり唇は離れていった。 そっと目を開けると、すぐ目の前に、智哉の顔。 ――ドキンッ! うわっ、近いよ! キスした直後なのに、こんな至近距離で見つめられたら、恥ずかしいっ! 思わず視線をさまよわせると、フッと智哉が笑ったのがわかった。 「綾華、顏、真っ赤」 あーーー、もうっ! なんで、コイツ、こんな余裕なのよ! あたしは、声も出せないほど緊張してるっていうのに!